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太陽光発電所の実践的保守・点検方法

今回は前回に引き続いて「太陽光発電システム保守点検ガイドライン」に記載されている内容から、太陽光発電所の保守・点検の方法の要点をご紹介します!

今回は

  • 発電性能に関わる保守項目
  • パネルの清掃方法

をご紹介します。

性能試験にはツールも併せてご紹介します!

電気的な性能やパネル洗浄は業者におまかせするという場合は、今回の記事は読み飛ばして頂いてもOKですよ~!

FITマンもまだ勉強中なので、専門家の方からのご指摘等あれば是非とも教えてくださいませ~!

関連する記事

前回の記事へのリンク

発電所の点検・保守(メンテナンス)の義務化と事故事例について!

参考資料:「太陽光発電システム保守点検ガイドライン」(一般社団法人日本電機工業会・一般社団法人太陽光発電協会)

発電性能に係わる保守項目

性能に関わる保守は、システムが可能な限り最大に発電されているかを確認することが目的で行うものです。

専門の計測器が必要となるため、専門業者に依頼して実施するパターンが多いです。

FITマンもまだ実際に行ったことはないので、実際に試験を行う場合は、ガイドラインをしっかり読んで、各計測器の説明書に従い、感電防止用手袋を装備するなど万全の態勢で臨んで下さいね!気を付けて!!
(と言いながらも、いずれやってみたい・・!)

項目試験内容
ストリング電圧確認(目的)システムが定格通りに正常な発電(電圧を発生)しているかの確認。故障したバイパスダイオードや発電性能を失った太陽電池パネルの有無確認や特定を行う
・ストリング(または配線ハーネス※1)が正しく配線された状態で、各回路のストリング電圧があるか確認する
・開放電圧(Voc)測定を行う
ストリング電流確認(目的)ストリングごとに異常な電流値を持つものがないか確認する。
・安定した日射のある条件下で、各ストリング(又は配線ハーネス)の電流測定値を比較する
・各ストリングの測定値の誤差が5%以内であることを確認する
・電流値が0Aの場合、インピーダンス測定器や断線検出器を使い、ストリングの断線がないか確認する
・ストリング断線が発生している場合は、断線箇所の位置情報を検出する
インピーダンス測定(目的)電気経路のインピーダンスまたは直列抵抗成分を調べることで異常を検知する。
(目的の補足)太陽光パネル間のコネクタに施工不良があると、コネクタが劣化し直列抵抗成分が増加する。それにより発電能力が低下したり、コネクタの発熱により近くのものに引火し火事原因になったりする場合もある。
・測定箇所の断路器を開放状態にし、+および-端子間のインピーダンスを測定する
・配線ケーブルを含めた電気経路全体のインピーダンスは、太陽電池モジュールの直列数が等しい場合にはほぼ同じ結果が得られる
IV曲線測定(目的)太陽電池パネル機器の故障又は大きな発電劣化を特定する。
・マイクロインバータやDC/DCコンバータが備わっていないシステムに実施することを推奨
・日射700W/m2以上の安定した日射強度がある場合に実施する
・システムが停止していて電流が流れていないことを確認する
・試験装置に太陽電池パネルの特性、種類、数量に応じたパラメータを入力する
・回路を分離しIV曲線測定装置のプローブをストリングの出力端子部に接続する
・IV曲線測定装置に付属する日射計を太陽電池パネル面と傾きが一致するように取り付け測定を開始する

※1 配線ハーネス:太陽光パネルに接続された複数の電線を束にしたもの。
※2 ストリング:太陽光パネル(モジュール)を直列でつないだ回路のこと。
※3 インピーダンス:交流回路における電流の流れにくさを数値化したもの。直流電流における抵抗値。電圧と電流の比であらわされる。単位はΩ。

太陽光パネルの清掃方法

さて、太陽光パネルの清掃方法について見ていきたいと思います!

まずは、そもそもパネルの清掃が必要なのか?!というところから解説していきたいと思います!

太陽光パネルの清掃の必要性

太陽光パネルの汚れは基本的に雨で落ちるように設計されているので、わざわざ清掃する必要なんてないんじゃないか、と思っていませんか?

あたりです!(笑)

太陽光パネルに付着した土や砂ぼこりなどは基本的に雨で落ちますし、こまめに洗浄する必要はないんです。

しかし、普通の雨じゃ流れていかない汚れがつく場合もあります!!

目立つ汚れを見つけたら自分で洗い流すようにしましょう。

汚れをそのままにしておくと、発電量の低下やホットスポット故障につながる危険性があります。

自分で洗浄する場合には、綺麗な部分まで一緒に洗う必要はなく、必要最小限でOKです。

清掃中にガラス表面を傷つけてしまうリスクも考えられるからです。

ガラス表面に傷つくと、光が反射してしまいパネルに入る日射量が減少(=発電量の減少)したり、メーカー保証対象外になったりする可能性があります。最悪の場合ですが!

もちろん発電所がある環境によって清掃が必要な頻度は異なります。

太陽光パネルの汚れの種類(樹木、黄砂、鉄粉?!、野焼き?!)

典型的な太陽光パネルの汚れの種類をいくつか挙げてみます!

FITマンの所有する発電所の様に、近くに落葉が落ちる木(落葉樹)が多い、渡り鳥の飛ぶルート下に位置している、ディーゼルなどによる粉塵の影響を受ける、塩害を受けやすいエリアである、火山灰の影響を受けるエリア等が代表例かなと!

その他にはPM2.5とか花粉、黄砂などの時期はパネル表面に汚れが堆積してしまうケースもある様です!
(日経XTECHさんに黄砂の汚れについて記事があったので、記載します。意外に雨で流れるそうですが、長期間堆積すると厄介な気がしますよね)

私の友人は工業地帯の鉄粉!?に悩まされているとか。
(調べてみたら「メガソーラービジネス」さんが記事に書いていて、興味深かったのでリンク貼っておきます)

ちなみに、近所に野焼きする人がいると汚れるケースもあるそうです!
(あれ?FITマンの千葉案件も近くに野焼きの跡があった様な・・・汗)

掃除のタイミングはそれぞれの時期終了後がお勧めです。

花粉なら花粉シーズンが終わった後、黄砂なら黄砂シーズンが終わった後、です。

パネルの置かれた地理的環境や、周辺状況、季節などを考慮しつつ、太陽電池パネル製造業者の指定する条件や頻度に基づいて清掃することをおすすめします!

また、太陽光パネルの清掃は必要経費扱いできるため、個人事業主の方は確定申告の際に計上することで税金を安く抑えられるメリットもあります。

この場合は業者に依頼しても良いかもしれませんね!

太陽光パネル清掃のコツ

太陽光パネルを自分で洗浄する場合、水道水をそのまま使うと水垢がパネルに付着してしまい発電量低下につながってしまいます。

ガラス用の中性洗剤または弱アルカリ性の洗剤を薄めて使う方法が推奨されています。

また清掃の際に硬いスポンジや雑巾を使って強く拭くと、パネル表面に砂などがある場合ガラスが傷ついてしまうので注意です

 

オススメ

・ガラス用の中性洗剤(弱アルカリ性洗剤)を薄めて使う

・ガラス用の柔らかいモップを使う(マイクロファイバーモップなど)

・汚れている場所のみ洗う

!NG!

・水道水をそのまま使う

・雑巾や硬いスポンジを使う

・高圧洗浄機の水をそのままパネルに吹きかける

(メーカーによっては禁止している場合あり。パネルの破損、ガラスとパネルの間への浸水リスク)

・汚れていない場所やパネル表面以外を清掃する(傷やサビの原因になります)

その他自主点検に役立つアイテム

以下のNTTRECさんのサイトにイメージしやすい図がありましたので、参考に引用させていただきます!ありがとうございます!

電圧測定器 役割:電圧を測定する使用方法:測定器を+端子と-端子に接続して使う。
判定方法:電圧がメーカーの定める定格電圧に近いことを確認する。メーカー規格に満たない場合、発電効率が悪く、パネルの不良が考えられる。
電流測定器 役割:電流を測定する使用方法:測定器を+端子と-端子に接続して使う。
判定方法:電流がメーカーの定める定格電圧に近いことを確認する。メーカー規格に満たない場合、発電効率が悪く、パネルの不良が考えられる
マルチメータ(テスター、回路計、回路試験機) 役割:電圧、電流、抵抗など基本的な測定機能を1台にまとめた汎用測定器。
使用方法:計測対象の電気特性にスイッチを切り替え、測定器を+端子と-端子に接続して使う。 
絶縁抵抗計役割:抵抗値を測定する。
使用方法:測定器を測定する端子と接地(アース)端子に接続し、測定器の電源をONにして電圧をかける。抵抗が限りなく無限大∞であることを確認する。
I-V曲線測定(I-Vカーブ測定)役割:発電状況をI-Vカーブでグラフ化し、メーカーが定めた性能と同等であることを確認する
使用方法:接続箱の端子に測定器のプローブをあて、測定を開始する。ストリングごとに順次測定し、メーカーが定める性能と同等の波形が得られることを確認する。

今回紹介した各種計測器以外に、ネットサーフィン中に見つけた太陽光発電システムの故障検知に特化したアイテムをいくつかご紹介しますね!

アイテスが開発するソラメンテシリーズは故障ストリングの検出、株式会社システム・ジェイディーが開発したSOKODESシリーズは、太陽電池アレイの断線と地絡を検出する機能が、日置電機が開発したFT4310はバイパスダイオードの開放・短絡故障を検出します。

昼間でも遮光せずに測定ができたり、遠隔操作が可能だったり、無線でデータを自動転送できたりと、手軽でスピーディな故障診断が可能なので、興味がある場合には下記リンクをご参照ください~!

ソラメンテ

SOKODES

HIOKI FT4310

まとめ

太陽光発電所の「太陽光発電システム保守点検ガイドライン」の内容について2回にわたってご紹介しました!

今回は性能評価の話もあり、測定器を揃えたり、操作が必要となったりとハードルの高い内容となっていまいましたが、

逆に電気関係に強い方からのアドバイスやご指摘、実際の様子等教えてもらえますと嬉しいです!

パネルの洗浄方法については実際に作業されるときのご参考に~!

ちなみに、FITマンが掃除した時の記事を貼っておきますね!今回もありがとうございました!

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