来月(2022/4)からFIT制度と同様の買取支援策であるFIP制度が導入されますが、
皆さん概要をご存知でしょうか?!
FITマンは「基本的に低圧太陽光には関係ない」ということさえ知りませんでした。。
と、いうことで対象は高圧案件の方ですが、基礎知識として知っておくことも良いかと!
基本的に「市場価格+プレミアム(補助額)」ということで、市場価格が上がる時には買取価格も上昇となりますよ!!
↓FIT制度についてはこちらです!↓
FIP制度概要~市場価格に連動した買取価格へ~
FIP制度(Feed-in-Premium)というのは
「再生可能エネルギーの買取価格を決定する新しい支援制度」
です!
この制度の最大の特徴は、
「市場価格によって買取価格が変わる」
という点です。
FIT制度では市場価格とは無関係に常に一定だった売電価格が、FIP制度では市場価格が反映されて、
そこにプレミアム(補助額)を上乗せしたものが売電価格になります!
海外ではすでにFIP制度を取り入れている国も存在していて、
日本はそれに追随して、独自のルールにアレンジして導入する形になります。
FIT制度と一文字違いだけれど、だいぶ内容が異なる制度ですよね!!
そうそう、とても肝心なことなんですが、
FIP制度が適用されるのは50kW以上の太陽光発電設備になります!
つまり低圧発電所(50kw未満)は現状対象外の制度です!!
50kW以上1MW未満の高圧案件は以下の2つに関して、
- FIT制度
- FIP制度
自分の発電所に適応する制度を選ぶことができます。
ちなみに1MW以上のメガソーラーの場合は、問答無用でFIP制度が適用されます!(笑)
FIP制度の仕組み~価格変動要因と価格決定方法~
繰り返しになりますが、低圧太陽光発電所の事業者にとっては、あまり関係ない制度だったりします(笑)
でもFIP制度の内容が魅力的だと思った事業者は、
FIP制度が適用される50kW以上の高圧太陽光発電所への投資に
踏み出す!という選択肢もありだと思います!
それでは、FIP制度について、もうちょっと詳しく見ていきましょう!
電力価格が変動する理由は?
FIP制度は市場価格をベースにしているため売電価格が変動するわけですが、
市場価格が変動する理由はご存知ですか??
答えは「需要と供給のバランス」です!(当たり前?(笑))
具体的に言いますと、異常気象によって野菜が不作(供給不足)の時は、スーパーで販売される野菜がびっくりするぐらい高騰(需要増加)したり、逆に豊作(供給過多)のときはたたき売り(需要不足)されたりすると思います!
あれと同じです!
電力需要量(電力欲しい量)が変わらない状態で、電力供給量(電力売りたい量)が少なくなれば
電力価格は高騰し、電力供給量が多くなれば電力価格は下がるというわけです!
ちなみに・・・
電気は需要量の変動が時間単位で変動するので、少々複雑です!
例えば夏の猛暑日は、外気温の上昇にあわせて企業も家庭もエアコンを使用するため電力需要が増えます!
時刻の経過とともに過ごしやすい気温に変化すれば、エアコン使用量も減ります。
夜間は企業での消費電力はなくなる一方、家庭では照明やTV、PC等の消費量が増える…
というように刻々と「電力需要」は変化します。
(ここからはやや専門的になるので、飛ばして頂いてもOKです!)
ご存知の通り日本のエネルギー電力の割合は今でも化石燃料・天然ガスを使った火力発電が主力です。
これらの燃料は輸入に頼らざるを得ないため、為替レートや社会情勢によって「燃料費」は簡単に変動し、
その影響が電力市場にダイレクトにあらわれます。
そして太陽光や風力といった自然エネルギーの「電力供給」は常に一定ではなく天候による変動を受けます。
これら変動要素のあるエネルギーが日本のエネルギー電力に占める割合が増えるほど、需給バランスは予測が難しく複雑性を増します。
この様に「電力需要」「燃料費」「電力供給」などの要素によって、電気料金の市場価格は変動します!
売電価格の計算式
FIPでは売電価格は
- 市場価格+プレミアム
で算出されます!なので、上記「プレミアム」の算出が肝になります!!
正式には以下の式で算出されます!
(今回の記事ではバランシングコストは除いて記載しています)
- ①プレミアム=②基準価格(FIP価格(固定))ー③参照価格(ーバランシングコスト)
となります!
FIP制度の収益計算のコア部分となる
①プレミアム
を構成する
②「基準価格(費用や利潤を勘案した、期間を通して一定の額。固定値)」
③「参照価格(市場取引などで期待できる収入。変動値)」
とはどの様な意味なのでしょうか?
詳しく見ていきましょう!
②基準価格はFIT制度での売電価格と同じようなもので、FIP価格と呼ばれます。
制度開始初期においてはFIT価格と同水準(2022年は10円)になると言われています!
この価格はプレミアムが交付される20年の期間を通して一定(固定)です。
一方、
③参照価格は市場価格の平均価格をベースとして1か月ごとに機械的に算定される金額で、変動していきます(※)。
※実際の計算式は以下になります。難しいですが・・・。
参照価格=前年度年間平均市場価格+(当年度月間平均ー前年度月間平均)
+非化石価値市場収入ーバランシングコスト
①プレミアム価格はこの1か月ごとに算定される「参照価格」にあわせて1か月ごとに更新されます!
ちなみに、市場価格が高騰した場合、参照価格も上昇するため、
場合によっては参照価格が基準価格を超えることも考えられます!
この場合、プレミアム価格はマイナス価格にはならず、0円になります!
※なお、具体的には参照価格の式を見て頂くと分かる通り、
例えば、電気市場価格が高騰した翌年は、それが参照価格上昇要因となってしまい、
基準価格と参照価格の差がゼロになる可能性があります。。
FIT認定を受けている50kW以上1MW未満の太陽光発電システムは、
実はFIT制度とFIP制度のいずれかを選択可能ですが、
一度FIP制度に移行した場合、FIT制度に戻ることはできないのでご注意くださいね!!
FIP制度のメリットとデメリット
FIP制度のデメリットとしては、
- 収益の予測が立ちにくい
- プレミアムがゼロになる可能性もある等
デメリットがある一方で、
- 市場価格高騰時には高い収益を上げられる
- 蓄電池等を利用する等工夫して収益を高められる
というメリットもあります!
また、電力市場の活性化が期待できるので、消費者に対するメリットも大きく、
今後も再生可能エネルギーの普及や世間の注目度が高まるんじゃないかと思われます!
まとめ
FIP制度では売電価格は時間ごとに変化する「市場価格」に
一か月ごとに更新される「プレミアム」が上乗せされたもので決定します。
そのため、気候変動や燃料費、電力需要量など市場価格を構成する要素のバランスが崩れ、市場価格が下落した場合に投資回収のスケジュールに狂いが生じるリスクも併せ持っています!
一方、市場価格が安い時期に合わせて発電設備のメンテナンスを実施したり、
蓄電池と組み合わせて運用したりするなど工夫することで高い収益を狙うことも可能です!
今回も最後までありがとうございました!!
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