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卒FIT後の低圧太陽光発電所の運用法

投資用に低圧太陽光発電事業を導入した場合、卒FIT後(FIT期間終了後)の対応は悩ましいところですよね!

売電価格はFIT期間のような高額が保証されているわけでもなく、現状ではFIP制度に切り替えるという選択肢もありません…。

今回はそんな卒FIT後の低圧太陽光発電事業の運用法についてお話していきます!

なお、卒FIT後の考えられる選択肢は下記の3つあると考えています(事業継続前提です)

  1. 同じ電気会社と継続契約して売電する
  2. 売電する電気会社を選びなおす
  3. 自家消費をメインにする

対象となる読者

卒FIT後の運用の選択肢について検討しておきたい方

(復習)FITとは?

まず簡単にFITの復習です!

FITとは何かというと、再エネを固定価格で買い取ってくれる制度です。
2012年から開始した制度で、売電価格は毎年更新され、住宅用の太陽光発電所で作った電気なら10年、事業用太陽光発電設所で作った電気なら20年間ずっと同じ価格での売電を約束する制度です!

(参考)関連記事:

こちらの記事でFIT制度の概要、FIT制度における発電所規模の分類について詳細を紹介しているのでよかったらご参照ください!

太陽光FIT制度概要~買取価格は?終了するの?~

太陽光発電所投資の仕組みについて

FIT後はどうなる?

住宅用太陽光発電所で10年、事業用太陽光発電所で20年経過するとFIT適用の買取期間が終了します!

つまり、

「これまで適用されていた高額かつ固定の価格での売電が出来なくなる」

    

「売電価格は市場価格程度に落ち込む」

ことをを意味しています!

まぁ、これは「これまで優遇されていた状態」が解除されるだけですが・・・(笑)

とはいえ、投資目的で太陽光発電を開始した身としては悩ましい事態ですね。。。

(参考)ちなみに、最近の案件は「過積載」が主流であり、パネルの出力が100kW前後の事が多い一方で、制度開始直後の案件の様に「買取単価は高いが、パネル出力が低い(30~40kW等)」案件はこの売電価格の下落幅がより一層大きくなるため、FIT期間終了時に発電所を撤去することも視野に入るかもしれません!

50kW以上の事業用(高圧)や、メガソーラなどの大規模設備であれば、2022年4月開始(予定)のFIP制度に切替するという選択肢もありますが、住宅用や50kW未満の事業用低圧の場合は、その他の選択肢から卒FIT後に進む道を選択する必要があります!

卒FIT後の考えられる選択肢は3つあります

  1. 同じ電気会社と継続契約して売電する
  2. 売電する電気会社を選びなおす
  3. 自家消費をメインにする

1つずつ解説していきますね!

同じ電気会社と継続契約して売電する

現在売電を行っている電力会社に、卒FITも継続して売電するという選択肢です!
(FITマンの場合は東京電力です!)

電気事業者との契約内容にもよりますが「自動継続」となっている場合、FIT期間が満了した後も、特に手続きなしで自動的に新しい単価で継続して売電が行われます!

一方、自動継続するという契約になっていない場合は要注意です!

いずれかの小売り電気事業者に申し込みをして買取契約を結ばないと、買取者不在状態になってしまい、余剰電力は一般送配電事業者に無償で引き渡すことになってしまいます。

売電する電気会社を選びなおす

売電金額は「売却先」によって異なります!

なので、少しでも高額で買い取りしてくれる一般電力事業者を売却先に選ぶことで、少しでも収益を増やすことが可能です!

2020年の卒FIT後の売電価格は1kWhあたり8円~9円が相場になっています。

以下に大手電力会社と新電力会社(一部)の買取価格をまとめてみました!
(あくまで2022年3月時点でのFITマン調べです!)

大手電力会社1kWhあたりの単価
北海道電力、関西電力8円
東北電力9円
東京電力8.5円
北陸電力1~17円(プラン、時刻で変動)
中部電力7~12円(プラン、時刻で変動)
四国電力、九州電力7円
沖縄電力7.5円
新電力会社1kWhあたりの単価
東京ガス9.5~10.5円
ENEOS8~11円(地域で変動)
一条工務店11円
Loopでんき021.3~29.5円(条件を満たした場合)
ダイワハウスでんき10, 11.5, 22円(ダイワハウスオーナー等条件あり)

売電先としては、新電力会社(電力自由化以降に参入した電気小売事業者)がお勧めです。

新電力会社は他産業から参入してきた業者や自治体の第三セクターなど、様々なバックグラウンドを持っているのが特徴で、売電を受け付けるサービスを行っています。

卒FIT後の発電所をターゲットにした「卒FITプラン」を展開するなど、積極的な電力の買取プランを展開しています。

ただし、最近の電力価格の高騰により経営破綻する会社も出てきていますので、契約する会社の財務状況や風評等のチェックもできるのであれば、行った方がいいですね!急に破綻して次の会社に変更するまでのタイムラグがあると、売電収入が入ってこなくなるかもしれませんね!

また、高額な売電価格を提示しているサービスは、新電力会社がもともと展開している事業サービスを受けている場合にのみ適用されるというケースもあるため、契約時には条件の確認が必要です!

経済産業省の資源エネルギー庁のサイトに、新電力事業者一覧が掲載されています。

このページは小売電気事業者からの掲載希望登録にあわせて随時更新されているので、常に新しい情報が載っています。

「もっと他に良い売電先はないのかな!?」「もっと情報が欲しい!」というときには、ご活用ください!

電力事業者との契約手続きには一定期間がかかるので、早めに申込する必要があります!

自分のライフプランに合わせて、できるだけいい条件で売電できる契約先を見つけるためにも、事業者が発表する買取メニューを確認して、FIT満了までに希望のプランを検討・選択することがおすすめです!

自家消費をメインにする(自宅付近にある場合)

太陽光発電設備が遠隔地にある場合を除いて、自家消費をメインとした運用に切り替えるという手段もあります!

1kWhあたりの売電価格の相場が8~9円、買電価格が13~14円であるなら、単純に計算すると自家消費したほうが1kWhあたり5円程度節約につながります。

今後この価格がどう推移するかはわかりませんが、これまでの推移を考慮すると売電価格は値下がり、買電価格は高騰する可能性はもあるかなと思います!

そこで、蓄電池やEV車など電気を貯めておける設備を導入し連動させることで、より効果的に電気代を減らすことができると思います

具体的には、昼間余った電気を売らずに蓄電したり、深夜の割安な電力を購入して貯めたりして、買電価格が高い時に蓄電池から消費する、といったイメージです。

もちろん蓄電池を導入するために初期投資費が余計にかかるというデメリットもありますが、自然災害などで停電が発生した時に予備電源として使えるというメリットがあります!

卒FIT後の蓄電池を併用した運用方法を国でも想定しており、2021年から蓄電池購入時に給付可能なDER補助金制度が適用されました。給付条件を満たすことで、蓄電池を安く導入することが可能となっています!

蓄電池を導入する代わりに、余剰電力を一時預かりするという仮想蓄電サービスというプランも各電力会社で提供されています!

ただしこちらは蓄電池に必要な初期投資費がかかわらないかわりに、月額利用サービス料金がかかります。

発電量によってはコストパフォーマンスが悪くなる場合もあるため利用する際は慎重にご検討ください!

まとめ

今回は卒FIT後の事業用低圧太陽光発電設備の運用方法についてご紹介しました!

同じ電力会社に継続して売電するか、もっと条件の良い電力会社と契約をするか、もしくは自家消費メインとして運用するかの三択になりそうですね!

運用プランの計画や、計画に見合った電力業者のサービスの選択など、卒FIT後の対策は早めに検討しておく必要がありますね!

また、今回はとりあげなかったのですが、大手電力会社による卒FIT後の太陽光発電設備を対象としたブロックチェーン技術を活用したP2P電力取引の実証実験も存在するそうです。

まだ具体的なサービス内容はわかりませんが、卒FITした太陽光発電事業者にとって運用の選択肢が広がるのは嬉しいですよね!

 

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