太陽光発電所投資の基礎

出力抑制2~復習および東京電力管内の状況~

太陽光発電所で作られた電力をパワーコンディショナで抑制することを「出力抑制」といいます。

出力抑制する目的は、系統に接続する太陽光発電所の数を増やすことにあるんですが、出力抑制されることで売電量が減ってしまうというデメリットもあります。

今回は引き続き出力抑制について、東京電力管内での出力抑制ルールにターゲットを絞ってご紹介します。

前回の記事を読まれていなくても特に問題ないですが、もしご興味があるようでしたら、こちらも見て頂けたら幸いです!

出力抑制のおさらい

20代男性

電力があればあるだけ電力不足が解消されるはずなのに、どうして電力出力を抑制するの!?

⇒電力には品質(電圧・周波数)というものがあって、電力系統が理想としている状態より電力が多すぎても少なすぎても品質に影響が出てしまうからです!

50代男性

そもそも電力系統は容量に合わせて接続できる太陽光発電所の量が決まっているので、抑制なんて必要ないのでは?

系統に接続する太陽光発電所の量が、接続可能な太陽光発電所の量を上回ってしまった時に、抑制が必要になります!

個々の太陽光発電所が出力をしぼることで、少しでも多くの太陽光発電所が系統に接続できるようにすることが、出力抑制の目的です!

なぜ太陽光発電所が抑制を受けないといけないの?

エコなエネルギーなのに!

抑制には優先順位があります!

太陽光発電や風力発電が出力抑制を受けるのは、調整力発電機や火力電源、オンライン調整できる発電機、揚水式発電機の用水運転抑制、バイオマス電源といった他電源の抑制でも間に合わなかった場合です。

出力抑制を受ける電源としては、優先順位は低めですので、そんなにしょっちゅう、長時間にわたって抑制されるわけではない…と思いたいです!(笑)

具体的にどんな出力抑制ルールを課せられるの?

電力会社エリア、太陽光発電所の接続申込時期によって、「30日ルール」「360時間ルール」「指定ルール」の3つのうちのいずれかが課せられます。

30日ルールは年間30日を上限として出力制御を受けます。

360時間ルールは年間360時間を上限として出力制御を受けます。

指定ルールは年間無制限・無補償で出力制御を受けます。

なお、10kW未満の家庭用太陽光発電所は現時点では出力抑制は受けません。

発電所規模10~50kW未満の事業用太陽光発電所が3つのうちいずれのルールが適用されるかは、前回の記事をご参照ください!

出力抑制ってどんな風に実行されるの?

電力会社の人がわざわざやってきて、パワコン止めるの?

⇒適用ルールによって異なります!

30日ルールでは、手動でパワコン操作を行います。

360時間ルール・指定ルールの場合は、遠隔出力制御システムによってパワコンを自動操作されることになります。

なので、リアルタイム制御指示器や出力制御機能付きパワーコンディショナの導入が義務付けられます。

なんか損する感じ…

⇒私もそう思います…。

特に遠隔操作可能なパワコンを導入しないといけないとは。。

もちろんインターネット回線も必要です。結構な負担ですよね。とほほ。

東京電力管内での出力抑制ルール

それでは今回の記事のメインである東京電力エリアでの出力抑制ルールについて、ご紹介します! 

前回は発電所規模10~50kW(事業用低圧太陽光発電)のみご紹介しましたが、今回は参考にその他の発電所規模についても併せてご紹介します!

<東京電力管内出力抑制ルール>

発電所規模適用される出力抑制ルール
~10kW未満出力制御されない
10~50kW未満(事業用低圧)2021/3/31以前の接続申込→対象外
2021/4/1以降の接続申込→指定ルール
50kW~500kW未満(事業用高圧)2015/3/31以前の接続申込→対象外
2015/4/1~2021/3/31の接続申込→360時間ルール
2021/4/1以降の接続申込→指定ルール
500kW~2015/1/25以前の接続申込→30日ルール
2015/1/26~2021/3/31の接続申込→360時間ルール
2021/4/1以降の接続申込→指定ルール

30日ルール=年間30日を上限として出力制御(手動でパワコン操作)
360時間ルール=年間360時間を上限として出力制御(出力制御機能付きパワコン設置)
指定ルール=無制限・無補償で出力制御(出力制御機能付きパワコン設置)

東京電力エリアでの出力制御機能付きパワコン設置についての手続きは次の2ステップです。

(1)東京電力の仕様に適合した出力制御機能付きパワコン設置に同意する

(2)出力制御機能付きパワコンの仕様確認依頼書を提出する(契約申し込み時)

出力制御機能付きパワコンの仕様確認依頼書の提出方法は、FITか非FITかで異なります。

新規にFIT売電希望する場合は申込時にWebの申し込みシステムで書類を添付して提出します。

新規に非FIT(小売売電)を希望する場合には、買取先の小売り電気事業者へ出力制御機能付きPCSなどの仕様確認書の提出を行います。

なお、2021/4/1以降の接続申込において出力制御機能付きパワコンの仕様確認依頼書を提出しないと、FIT売電の申し込みが却下されることになる様です!

東京電力管内での出力抑制発生スケジュールについて

経済産業省は昨年末に2022年に北海道、東北、四国、九州、沖縄の5地域で出力抑制が発生するだろうと試算しました。

九州は太陽光発電導入量が多いこともあって、早くから九州電力は出力抑制システムを検討してきた背景があったりします。

出力抑制がいつどこで発生するかどうかを予測するのはなかなか難しいことですが、太陽光発電所の出力抑制が起こりそうな時期を想定することはできそうです。

出力抑制が発生するのは、電力供給が需要を大きく上回る時です。

まず発電量が多い時期は初夏の4~5月頃になります。

日照時間と気温がちょうどいいバランスだからです。

日照時間は夏ピークを迎えますが、気温も上昇してしまいます。

太陽光発電はパネル温度が高いと発電効率が下がるため、実は夏はあまり発電量が多くないんです。

一方、電力需要は夏や冬といった寒暖が厳しい時期に高まるので、この期間は電力供給過多にはなりにくいです。

このことから、電力需要が小さい春や秋の快晴日、4~5月、9月あたりが出力抑制の起こりやすい時期です。

特に企業が休みのGW期間に晴れると出力抑制される可能性は高そうですね。

今のところ東京電力管内での出力抑制の告知はありませんが、来年のGWあたりあるかも…!?

まとめ

前回に引き続き出力抑制についてご紹介しました。

4/9に四国電力、4/10には東北電力、5/8には北海道電力で初めて再エネの出力抑制を実施したようです。

出力抑制はできればなければ嬉しいものですよね。

でも出力抑制の必要がないってことは、そもそも発電がされてないってことで、それも困っちゃうかな…!?

太陽光発電に関する素朴な疑問や、記事に関するご意見など聞かせて頂けたら励みになります!

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