今回は日射量の分析です!前回、売電収益を得るための式をご紹介しました!
①売電価格×②日射量(発電量)=収益
今回は上記②のお話です!
太陽光発電投資で利益を上げるためには、安定した売電量(発電量)が必要です。
と、言うことで!今回は
- 「太陽光発電投資をしたいけど、発電所付近の日射量でどの程度売電できるのかわからない…」
- 「該当箇所の日射量で安定した収益は得られるの?」
といった不安を持つ方々に向けた分析方法のご紹介になります!
(実際購入する際は施工業者からシミュレーションが出てきますが、考え方を確認しましょう!)
恐怖!日射量って予測できない?!
「明日の天気予報さえ当たらないことがあるのに、天気次第で投資成果が変わるなんてリスク高すぎ!」
こんなことを皆さん思わないでしょうか?
日射量は一日の間に、
「太陽の位置」や「雲の量」
によって変動しますし、
また、
「月ごと」、「季節ごと」、「地域ごと」
にも変動していて、もちろん一定ではありません。
年間単位で見ても、日射量には多寡(多かったり少なかったり)があり、
雨が多い年や冷夏や猛暑と呼ばれる異常気象に見舞われる場合もあります。
自然エネルギーなので常に日射が一定でないのは仕方ないとしても、
将来の収益をしっかり見積もることが出来るのか不安になってしまうのではないでしょうか?
どうしよう・・・・
◎日射量は長期的に見ると安定している
安心してください!長期的に見ると安定してますよ!
低圧太陽光のFIT期間は20年間と長期に亘りますが、
数カ月や1年といった短期間ではばらつきのある日射量も、
10年20年といった長期間で分析することで日射変動は平均化され、
地域ごとの平均的な年間日射量を求めることが出来ます!
この日射の過去データを使って太陽光発電投資のシミュレーションを行うことで、
より現実的な将来の売電量を見積もることが可能になります!
日射量のデータ分析の方法
日射量の分析を行うには、過去データを入手することから始めます。
地域ごとの平均的な日射量の閲覧・入手方法として、
- 気象庁の公開する過去の気象データ
- NEDOの日射量データベース
等があります。
いずれも会員登録が不要で、誰でも無料でデータを利用することが可能です。
気象庁「過去の気象データ・ダウンロード」
NEDO「日射量データベース閲覧システム」
気象庁のWEBサイトでは、
- 対象となる地点
- 分析対象期間
- データの項目
等を選ぶことで必要なデータを画面に表示したり、CSVファイルとしてダウンロードしたりすることが可能です!
複数年のデータを取得した後、年別・月別に日射量を積算することで、地域の日射の推移を確認することが可能です。
NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)
の「日射量データベース閲覧システム」も基本的な使い方は同じです!
システム出力係数(損失係数)とは?
年間発電量の概算は、システムの定格出力(システム容量)[kW]×年間日射量[kW/m2]×0.85で求めることが出来ます。
「0.85」は太陽光発電システムの平均的なシステム出力係数です。
この式中で「システム出力係数」とは損失を意味します。
システムの定格出力は日射が1kW/m2のときの発電量ですが、
日の出日の入りなど日射量が少ない時にはパネルの出力は定格出力よりも小さくなります!
それに加えて、パワーコンディショナや配線、パネルの汚れ等による各種ロスなども考慮すると
大体0.85が一般的な損失係数となります!
以上から、
事業用太陽光発電であれば20年間同じ価格で売電が可能なので、
年間発電量に20年と売電単価(1kWhあたりの売電価格)を掛けます!
(なお、2020年以降にFIT適用された低圧事業用太陽光の場合は、
全発電量のうち30%を自家消費しなくてはならないため売電電力量から除外します)
こうして求めた金額が、対象地点における20年間の総売電収益金額になります!
発電量を多くするには…
日本は南北に伸びた地形のため、
- 緯度
- 地形
によって複数の異なる気候の地域が存在します!
それぞれの気候区で年間に見込める日射量は異なり、
残念ながら場所によっては太陽光発電に向いていない地点もあります。
- 山の中腹
- 森の中
- パネルに影を落とすような建物や木々が周辺にある場所
- パネルを十分に設置できない狭い土地、
- 日照時間が短い場所
ではたくさん発電することが難しく、
アクセスの悪い土地ではシステムの管理が困難になります!
一方で
- 年間通して晴れが多い地域
- 梅雨のない地域
では安定した発電が見込めます!
自分が購入予定の地域の平均年間日射量を確認してみることで、
太陽光発電投資に向いているかどうかを判断しやすくなりますよ!
こちらの記事でも「太陽光発電に向いていない場所」について軽く触れています。
失敗から学べる「こうすべし!」をまとめていますので、
日陰のある物件の購入を悩んでいらっしゃるようでしたら、ぜひ読んでみてください!
「こんな物件は選ばない様に②~「日陰」ダメ。ゼッタイ。~」
また、既に日陰のある物件をお持ちの方で対策について悩んでいらっしゃる方には、
こちらの記事がご参考になるかもしれません!
「樹木による「日陰」への対策~結局、「伐採」なのか?!~」
パネルに入射する日射量を最大化するための方法として、
エリアに適した最適な
- パネルの傾斜角
- 方位角
を設定することは効果的です!
もちろん定期的なパネルの洗浄やメンテナンスによって、
システムを正常な状態に維持することも大切です。
発電量が多いのは何月??~夏ではないですよ~
ちなみに、太陽光での発電量が一年でもっとも多いのは何月だと思いますか?
太陽の光がまぶしい7月、8月の夏場かと思いきや、
実は5月です!
その理由は「熱」にあります。
実は発電量は日射量だけではなくパネル温度によっても変動します。
電力は電流×電圧で値が決まります。
電圧は熱に弱いため、
パネル温度が高くなるほど発電効率が低下してしまう特徴があるのです!
そのため夏場は日射量が多い一方で、パネル温度が高くなる影響を受け、出力が低下する日もあります。
山に囲まれた豪雪地域も一見して「太陽光発電に向いていない場所」ですが、
冬場はパネルを垂直設置することで除雪の手間をなくし、
雪面に反射する光(アルベド)をパネルに取込み易くするなど、
システムの設計次第で、弱みを強みに変えることが出来ます。
また冬場に積雪するような寒冷地帯では、夏場にパネル温度を低く保てるので、
温暖なエリアに比べて年間単位で多くの発電量が見込める場合もあります!
土地に合わせた適切なシステムの設計を行い、
安定した売電収益が得られるかどうか正しく判断することがポイントです!
まとめ
太陽光発電投資は売電単価が長期間一定なので、トータルの収益が計算しやすいところが魅力です!
システムの購入は決して安い買い物ではないため、確実な収益が見込めないと投資に踏み切る勇気は持てませんよね。
太陽光発電投資のエネルギーソースである日射量は、
天変地異がない限り長期間で見た場合に大きな変動はないため、
あらかじめ利益をシミュレーションしておくことができ、安心して投資できます!
(※なお、施工業者が提出してくるシミュレーションは購入予定の発電所の地点では計算していない
(周辺の代表的な地点)ため、日陰の影響等も考慮されていないことが通常です。必ず現地確認を
実施し、シミュレーションと同様の結果が出る条件が揃っているか確認しましょう)